Designer's Voice
「Designer’s Voice」第10回 【好きなデザイン、教えてください】
2013年7月10日
カテゴリー:Designer’s Voice
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*そもそもこの仕事を目指したきっかけはなんですか?
小学生の時、美術の先生になるのが夢だったんです。
たぶんそれがベースかな。
絵を描くことが好きだったし、大学受験まではずっと思い続けてましたね。
*あ、じゃあ大学も美術系のほうに?
いや、美術系を目指してたんだけど、受からなくて。
結局、法学部に進みました。
*じゃあ大学で、絵を描くことは…?
全くやらなかった。
受験で失敗して、画材とか全部捨てて。
もう辞めようと。
*そこまで…。
他に始めたこととかあったんですか?
写真を始めました。
バイトでカメラマンのアシスタントもやって。
その頃はカメラマンになろうと思ってました。
*どんな作品を撮ってたんですか?
あのね、自分のなかでひとつテーマがあって。
「すきま」っていう。
*?「すきま」というと?
建物と建物の隙間とか、いろんな隙間を撮ってましたね。
*それまた、なぜ?
なんかね、ぎゅうぎゅうな感じがしたの、東京が。
全てきっちりしてる感じが。それが息苦しくて。
だからかな。
*田中さん、出身はどちらですか?
茨城です。やっぱり仕事する場ですよね、東京は。
*あーなるほど。いずれは茨城に戻りたい?
というか、住んでるの。今も。茨城に。
*えー!それすごいですね…。
で、なんでまた写真からグラフィックの道に転身を?
えっとね、大学4年のときに親父が病気になっちゃって。
1年間看病してたから、いざ大学卒業って時に就職できなくて。
であれば、ずっと好きだった「デザイン」っていうのに
携わりたいって思って。そこからですかね。
*じゃあ、もしそのことがなければ全く違うことをしてた
可能性も…?
うん。たぶん、そうだと思う。
*実際にこの仕事を始めて、意識してるこというと?
「訴求力」と「多角的な視点を持つこと」ですかね。
今、多く制作してる流通での店内媒体も、紙面単体だけじゃなくて、お客さんの動きや流れだったり、目の高さなんかを含めて考えないと機能していかないですからね。
そこが難しくもあり、楽しくもあり…。
*今後やってみたいことはありますか?
いつかは個展を開いてみたいですね。
*おぉ!やるならどんな個展にしたいですか?
なんか、ぼーっとできるような空間で…自分のグラフィックの作品を出せたらいいですね。
*ありがとうございました。
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本当にこの仕事が好きなんだなぁ…。
「デザイン」の難しさや楽しさを、ゆっくりと話す姿から思ったこと。
変なこだわりは持たず、常にニュートラルでいたいとも話してくれた。
「自分」を出しては、広告としての効果が出ないから。
きっと色々なきっかけや経験を経て、出会えた考えや気持ちなのかもしれない…。
今日も、田中さんはデスクの前でデザインと向き合っている。