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「まちの元気」レポート
商店街を歩こう

全国各地の「商店街」で実施されている取組みや各種課題、さらに関連ニュースなどを
独自の観点から勝手にレポート。商店街と元気のある街づくりの“今”に迫ります。

三種の神器:その2 〜究極の販促事業〜

2013年11月5日
カテゴリー:商店街を歩こう

「三種の神器」シリーズ第2弾は「100円商店街」を紹介します。


(大阪市・黒門市場商店街:個人ブログより)
(大阪市・黒門市場商店街:個人ブログより)

まず、ネーミングが分かりやすくていいですよね。
ついつい気になってしまうことばのように思います。


そもそも100円商店街とは。
商店街全体を100円ショップに見立て、各個店それぞれで100円商品を販売。目玉商品を軸に買い物を楽しんでもらいながら回遊性をつくりだし、にぎわいを感じさせる「イベント性」と各店舗における「購買」が直結する事業です。

(大阪市・野田新橋筋商店街:個人ブログより)
(大阪市・野田新橋筋商店街:個人ブログより)

前回紹介した飲食店をまわる「バル」イベントに比べ、参加業種の制限がないこと、補助金に頼らず実施しやすいことも特長です。


仕掛け人は山形県新庄市の職員である斎藤一成さん。

自治体の職員であれば、補助金を利用してもらうことが一般的。補助金ありきの施策を提案したり、アーケードやアーチの整備などわかりやすい対策に流れた時代もありました。
職員の立場からしたら、活用してもらわなければ次回以降の予算化に壁が生じやすくなってしまう場合があるからでしょう。
それなのに、斎藤氏ははじめから補助金に頼らない取り組みを考えてきたところがすごいと思うのです。


今では全国100を超える商店街で行われ、経済産業省「頑張る商店街77選」に選定。総務省「平成22年度地域づくり総務大臣団体表彰」なる賞も受賞されています。


特筆すべきことは、注意しなければいけない「三カ条」があることです。

(茨城県日立市・パティオモール商店会ブログより)


◆100円商店街の三カ条◆

一、店外に100円商品を陳列すべし

 お客さまの目を引き、足を止めてもらうきっかけをつくる。
 「店内に入りにくい」というイメージ払拭にも期待。

一、店外でお客さまと会話すべし

 言い換えれば、「店頭で大きな声で呼び込みを行うべし!」
 店内への誘致や積極的なセールストークで活気を創出。
 顧客接点もつくりやすくなります。

一、精算は店内ですべし

 100円以外の通常商品との同時購入を促進。100円商品だけの購入では
 意味なし!


とのこと。

つまり、商店街全体の取り組みで個店の収益に直結するとはいえ、店舗ごとに高いモチベーションが絶対的に必要だといえます。

大事なことは、この三カ条を商店主の方にちゃんと理解してもらうこと。

・なぜ「100円商店街」をやるのか?
・どんな商品を目玉商品として売るのか?
・各店舗・その商品の売りはなにか?
・同時購入を促すためにできることは?

などなど、
ワークショップや勉強会を開催するなどして、目的の共有と参加者それぞれが思いを吐き出せるような「場」を設けることが必要です。


だからこそ、こんなおもしろアイデア商品がうまれます。


・豆腐店にて…おから詰め放題
 → 「○○放題」と言われれば、ついつい財布のヒモが緩んでしまいますよね。

・信用金庫にて…1億円の重さ体験
 → 金融業だって100円商品がある!アミューズメント性バツグンです。

・カーディーラーにて…車内クリーニング券の販売
 → これこそ商人魂が感じられますよね。
  後日お客さまに来店していただくことで+αの商品・サービスを
  購入してもらいやすくなりますからね。


思わず気になってしまう商品ばかりです。
ただ、これは「商品力」が強いのではなく、いかに参加店舗がお客さまの満足度・自店舗の収益を考えられるかどうかなんだと思います。

だからこそ、勉強会って大事なんですね。
(滋賀県大津市:「まちづくり大津」サイトより)
(滋賀県大津市:「まちづくり大津」サイトより)

調べていくなかで、成功のカギが2つ見えてきました。


(1)高い参加率を維持させること。

多くの店舗が参加しなければ、なかなか成功にはたどり着けません。
参加率の低さから、回遊性・にぎわいがうまれづらくなり、自動的に自店舗への誘致、通常商品の購入の確率も減少します。

運営負荷が高いうえに赤字になる、なんて状況も充分にあり得るのです。


(2)「目的」と「手段」をはき違えないこと。

前述にもありましたが、100円商店街はあくまで「商店街活性化」という目的を達成するための手段のひとつにすぎません。

よくある場面として、

「みんなが参加するからウチも参加する。」

のような「自店舗の収益増加」よりも、周辺店舗との「お付き合い」を優先してしまっているケース。


このような店舗が多いほど100円商店街をやることが「目的」になってしまう怖れがあります。

目に見えて「失敗」が目に浮かびます…。


集客活性化、ひいては収益アップへの効果はバッチリですし、多くの地域での実績から「簡単にできそう」なイメージを持ちやすいですが、実際のところは容易でないことが分かります。

都内でもあまり見かけないのも気になるところ…。

厳しい言い方ですが、モチベーションやポテンシャルがどうにも低い商店街では実施不可能といってもいいかもしれません。

言い換えれば、100円商店街をちゃんと実行できるところは「強い」商店街といえるのでは、と思います。

(山形県新庄市:「がんばる商店街77選」サイトより)
(山形県新庄市:「がんばる商店街77選」サイトより)

参考書籍:『100円商店街・バル・まちゼミ お店が儲かるまちづくり(学芸出版社)』

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