「Designer’s Voice」第4回
【好きなデザイン、教えてください】
内に秘めた「何か」がある、そんな気がしていた。
彼女の名は、久保真由美さん。
おとなしいってわけじゃないけど、聞き上手。
謙虚な姿勢なのに、昨年末行われた社用年賀状デザインの社内コンペでは堂々の1位。
果たして、このテーマに何と答えるだろう?
——久保さんの好きなデザインとは?
「好きなデザイン…というか気になるデザインは、現在メインで制作している手のひらサイズの小さなPOP(店頭販促ツール)です。」
——気になるデザインでもあるし、やりがいを感じる制作物ってことですね。何でまた?
「ユニティに入社して最初の仕事だったので、思い入れがあるんです。前職では、新聞広告やフリーペーパーなどの制作が中心だったので、初めは何をどこに配置するのか…さっぱりでした。」
——楽しくなってきたきっかけは?
「仕事を任されるようになって、直接クライアントさんとのやり取りが増えてからですかね。相手の要望を聞き入れたり、気持ちを汲み取ることや、限られたスペースのなかで訴求目的ごとにデザインを組み立てることにやりがいを感じるようになってきたんです。」
——責任感、ってやつですかね。制作上で気をつけていることはありますか?
「大事なことは思い込みでいかないことだと思います。当たり前だと思いますが、『相手の立場に立つ』が基本ですね。」
——話は変わりますが、この前頂いたバレンタインチョコ、感動しました!ししゃもチョコにおみくじチョコに…ラインナップにみんな爆笑してましたよね。
「ただ、みんなに楽しんでもらいたくて。どんな反応をしてくれるかイメージしながらお菓子を選んでました。」
——なるほど、「相手の立場に立つ」って久保さんの基本なんですね。
「そうですね、とも言いづらいですけど(笑)。でもユニティに入ってからより強く意識するようになりましたね。」
——では今後の展望などあれば。
「やっぱり『このデザインなら、久保さん!』と思われるようなデザイナーになりたいですね。自分にしかできないことをやっていきたいです。」
思いがけず、デザインの話から仕事論に花が咲いた。しかし好きなデザインと聞き、実制作だと答える姿には「プライド」や「野心」のようなものを垣間見たように感じる。日々のPOP制作の傍ら、彼女は今日もまた自分らしさを追い求めていくに違いない…。
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「CU:リレーノート」第11回 「アップデート」
「CU:リレーノート」第11回
「アップデート」
デザイナー:サカタ
先日インターンシップの学生さんを数日間受け持ちました。
自分が美大生だった頃に産まれた子が同じくしてデザインの世界を目指す、なんだか不思議な感覚です。
そうか〜彼はこういう思考を持っているのか、こんな切り口で表現するのかと、まずは用意してくれたポートフォリオを見させてもらいます。
もちろんよく話をして理解を深める事も大切ではありますが、クリエイティブの人間ならその人が作ったものから色々な事を感じ取れるのではないかなと、コトバではうまく表現できない事が、その人のデザインに息づいているのではないかなと思ったりしています。
コンセプトメイク、テーマ設定などの考え方が自分らしくしっかりしていましたので、大枠の課題めいたものを設定しつつ、実務のサポートをお願いしました。
こういった機会を頂くと、時代はどんどん変わっているのだなと感じます。
私が美大時代なんて、授業でMacを使うこと、そもそもパソコンでデザインできるの?って感じでしたし、Webサイトやスマホのインターフェイスデザインといった案件もありませんでした。
時代が変われば価値観も変わる、もちろん普遍的なものは変わりませんが、デザインという消費社会/生活者と密接につながる媒体を仕事としている以上、今の自分の価値観、考え方をどんどんアップデートしていく必要があるのではと思います。
自分のこれまでの経験値に胡座をかいていないか、感性は常にフレッシュか、インターンシップの学生さんとの数日間は、私にとっても大変いい勉強になりました☆
IT TREND WATCH第4回 「プロジェクションマッピ〜
IT TREND WATCH第4回
「プロジェクションマッピング」って?
IT TREND WATCH第4回のお題は、最近なにかと話題の「プロジェクションマッピング」です。
JR東京駅のお披露目やロンドン五輪の開会式、Perfumeのライブ、きゃりーぱみゅぱみゅ×auのライブパフォーマンスなどで用いられたことで、様々なメディアで目にした「プロジェクションマッピング」という言葉、「実はよくわからない。。。」という方も意外といるのでは。
プロジェクションマッピングとは、ビデオプロジェクターで立体物の面の部分をスクリーンとして平面映像を投影する技法の総称、もしくはその技法を用いたパフォーマンスそのものを指す言葉です。
一般的なプロジェクションマッピングは、建物の形状に合っている映像をプロジェクターで投影し、実際の建物が動いているような印象を与えたり、違う建物に変化するかのような印象を与える表現をします。
既存の建物に手を加える必要がない(もしくは新たにスクリーンや投影用の作品を設置する必要がない)ので、場所を問わず表現できるという大きなメリットがあります。
と同時に、スクリーンとして利用する建物や場所とリンクするような表現内容・プログラムにすることで、技法を見せるだけではなくプラスαの内容があるインタラクティブ体験をさせることができるのも魅力の一つです。
また、いわゆるインスタレーションと呼ばれる、場所や空間を作品全体として体験させる現代芸術のひとつがありますが、プロジェクションマッピングはこのインスタレーションの進化系とも言えます。元々は芸術の分野の一手法であったものが、近年の映像・音響機器の進化と普及によって急激に一般社会で使われはじめ、その斬新さから注目を浴びています。
海外ではミュージシャンのライブなどで導入されることが多かったのですが、最近では一般の企業が自社のPRをするイベントや、新たな観光の目玉としての街作りのコンテンツの一つとして用いられるなど、様々なシーンで取り入れられはじめています。
と、前置きが長くなりましたが。。。
百聞は一見にしかず。まずは見てみて下さい!
例1:【CM】 au「FULL CONTROL _ REAL」篇 60秒 きゃりーぱみゅぱみゅ
http://www.youtube.com/watch?v=v_ZYeEYh9rg
例2:TOKYO STATION VISION 東京駅プロジェクションマッピング
例3:Disney【THE MAGIC THE MEMORIES AND YOU】プロジェクションマッピング
今までの常識を打ち破る新しい表現、実際に体感するとその凄さがわかるはず。
近年のIT業界のスピードからすると、かなり近いうちに「自宅でケータイを使って気軽にプロジェクションマッピング」なんてことになっちゃうのかもしれません。
お誕生日会やホームパーティーの飾り付けの代わりにプロジェクションマッピング〜とか、色々と夢が膨らみますよね。これからの動向が楽しみです。
「CU:リレーノート」第10回「文字」デザイナー:長島〜
「CU:リレーノート」第10回
「文字」
デザイナー:長島未来
『文字』には本来の役割の他に、もうひとつの面を持ち合わせているように思います。それは『画』としての文字です。
昔、私のお気に入りのTシャツを見た友人が、突然笑い出したことがあります。
どうやら、Tシャツのデザインに使われている英文が、文法もおかしければ内容も意味不明だったのだそうです。デザインが気に入って買ったのですが、柄の中の英語を『文字』として捉えると、確かに首をひねってしまうものでした。
つまり、私は文字を『画』として、友人は文字を『文字』のまま捉えたのです。
インターネットで同様の事例を検索してみると、なかなかに斬新奇抜な使い方をされた日本語や外国語の画像がざくざく出てきます。
実際に、思わず2度見してしまうような、変な日本語の刺青や服を着た外国人に出会ったこともありました。
また、絵と文字の結びつきが強い象形文字などはさらに顕著です。中国のナシ族に伝わる『トンパ文字』をご存知でしょうか?近年有名になるにつれ、トンパ文字独特の造形美とそのものめずらしさから、トンパ文字を使った製品が数多く生まれました。ですが、使い方が間違っていることが度々あるそうです。
自国のものではない言葉。理解できない文字。
正しく『文字』として使うのか、はたまた、曲線と直線の塊の『画』として表現するのか。
情報の伝達やメッセージ性を必要とするものは、正しく言葉を選ぶ必要がありますが、そうでなければ、ヘンテコな文字や表現、私はアリだと思います。「かわいい」「素敵!」と、文字を感覚的に『画』として捉え、自分の気に入った物を買うのは自由です。さらに、ヘンテコデザイン言葉を『文字』としても捉え、つっこみを入れたり、笑い合ったり。それですら一種の楽しみ方ではないかと思います。
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●http://www.superdry.com/
↑日本人には到底できない、斬新な日本語の使われ方です。そしてかっこいい。
● 画像はトンパ文字を使って私が遊んだものです。意味は・・・きっとおかしなことになっているでしょう。
「コミュニケーションツール」 デザイナー:篠崎真生
「コミュニケーションツール」
デザイナー:篠崎真生
メールやSNSの魅力はスピード。
今や無くてははならないツールの一つですよね。
情報の提供、交換を瞬時ににやりとりできたり、「LINE」などはスタンプ機能を利用して更に気軽に会話をすることが可能になりました。
そんな便利なコミュニケーションツールを私も日常茶飯事、楽しみながら利用しています。
ところが最近、昔の友達から「手紙」が届きました。
久しぶりに見た封筒と便せんに興味津々。
封を開けるときも、なぜか少しドキドキしたりして。
特別目立った内容ではなかったのですが、筆跡から書いた人の人柄や体温が伝わってくる感じは、心に響く味わいがありました。
便せんや封筒からもその人のセンスが滲み出ていて、しばらく会っていないのに目の前にその人を感じられることも、手紙ならではの魅力です。
そして何よりも、相手が自分の為に時間と手間をかけてくれたことに、深く心を動かされました。
様々なサービスが便利でスピーディーな時代。
その時代の中で手紙の魅力は、有機的なコミュニケーションのひとつとして衰えることがないのだと実感しました。
たまにはのんびり、紙の前で大切な人を想う時間があってもいいのかもしれませんね~。
「Designer’s Voice」第3回 【好きなデザイン、教えてく〜
どの職種にもプロフェッショナルと呼ばれる人がいる。オペレーターとして働く井林智子さんは、まさにそんな存在に感じる。果たして、オペレーターから見た「デザイン」とは?
——お題は「好きなデザイン」ですが、まずは簡単に仕事内容について教えてください。
「ソフトを使って文字や写真、イラストなどを入力していきます。ただ流し込みの作業だけではなく、文字の大きさや色合い、全体のトーンなどがバランスよく配置されているかのチェックがとても重要になっていきます。各パーツが『同じに見える』ように制作していくことがカギですね。」
——必要なスキルや要素は、やはり「正確さ」ですか?
「確かに『正確さ』は避けては通れないですね。というか、大前提。でもそこにこだわりすぎてもよくないんです。」
——「正確さ」と「スピード」のバランスってやつですか。
「そうですね。例えば、一般に『ドラッグして移動する』という作業もオペレーターは数値の入力で作業します。と言うのも、その後の修正を考慮しているから。2つのバランスを保つうえで作業効率は常に意識しているところですね。」
——日常で「職業病だな…」って思う瞬間はありますか?
「色を見ると、これちょっと『Y』(色の表現CMYKのY。Yellowのこと)入ってるな、とか思っちゃいますね(笑)。頭の中が常に数値化された状態になってるんです。このあたりはデザイナーとは違った見方かもしれないですね。ちなみに好きな色は、『Y』が少し入ったピンク色…さくら色のことです(笑)。」(※画像参照)
——色に関して言えば、井林さんっていつも服の色合いが素敵だなぁと勝手に思ってました。
「そんなにこだわってはないんですが、とにかく、自分が着ていて楽しいものを着たい。これに尽きます。人に何を言われようが、自分の好きなように生きていきたいですからね。」
——デザインの話から生きざま論まで聞けるとは!
「こだわりたいところにはこだわるけど、あとはどうでもいいって思っちゃう。だからこの仕事でこだわれてよかった、って思いますよ、ほんとに。」
——では最後に、井林さんにとってデザインとは?
「気持ちのいいもの、ですかね。個人的に、パッと見てなんか変だと感じるものはムズムズする気分になるし、オペレーターとしても、不揃いな状態や、不自然な箇所の空白などはすごく気になりますからね。」
まさに「デザインを支える」人のことばの数々。今日もデスクという舞台で彼女のプロフェッショナルはいかんなく発揮されるに違いない。
「CU:リレーノート」第8回「ゴルフの唯一の欠点は、~
「CU:リレーノート」第8回
「ゴルフの唯一の欠点は、面白すぎることだ」
デザイナー:江守剛
今回は自分の趣味に関して少しお話したいと思います。
タイトルの格言はヘンリー・ロングハーストという人の言葉ですが、自分にとっても真実です。
もともと多趣味だったはずの自分が、ゴルフと出会い「趣味はゴルフです」と言い切れるようになってしまいました。
ゴルフを始めて早10年以上。
今や自分の友人関係の90%はゴルフによるつながりで、休日の過ごし方はゴルフに関係する事ばかり。
TVでゴルフ中継があればついつい鑑賞し、アウトレットに行っても見て回るのはゴルフショップ。
あげくの果てには、恋人との出会いもゴルフが切っ掛けといった有様です(笑)
知り合いの中には、「ゴルフをする為に田舎に越してゴルフ三昧の人」「仕事をゴルフ関連に変えてしまった人」「酒もタバコもギャンブルもやめられてもゴルフだけはやめられない人」こんな方々も一人や二人じゃありません。
もちろんゴルフも好きずきなので、ここまでハマる人ばかりではないのですが。
ゴルフのどこがここまで人を魅了してやまないのか。
・大自然の中で、四季を感じながら気持ちよくプレー出来る事。
・適度な運動が出来て、楽しめるスポーツである事。
・全てのスポーツの中でも最もボールを遠くに飛ばせる競技で爽快感が味わえる事。
・パターという要素があるため、力の無い者でも、力のある人に勝つ事が出来る事。
・ゴルフクラブや道具を趣味として収集して、楽しむ事が出来る事。
・近年はファッションもお洒落で可愛いものが多く、女性も楽しめる事。
・老後の趣味として楽しめるほど長く出来るスポーツである事。
ちょっと考えてみただけでも様々な要素が出てきます。
では自分がここまでゴルフを愛してしまった理由はなんなのか?
※likeではなく、love
上記に挙げた要素ももちろんありますが、一番はゴルフを通じて様々な人と出会う事が出来た事です。
職種も、性別も、年齢も関係なく、通常であれば出会う事も無いような人たちと沢山知り合う事が出来ました。
ただ、ゴルフが好きというだけで皆が友達になれる。
これこそが自分の考えるゴルフの最も優れた部分であると言えます。
これからもゴルフを切っ掛けに一生付き合える仲間を増やして行こうと考えています。
結婚しても、子供が出来ても、きっと彼女は許してくれるだろうと信じて…
最後に、ゴルフに関する格言でこんな言葉が残されています。
ハンディ30の人は、ゴルフをおろそかにする。
ハンディ30の人は、家庭をおろそかにする。
ハンディ10の人は、仕事をおろそかにする。
ハンディ5の人は、すべてをおろそかにする。
デイビッド・ロイド・ジョージ
自分の現在のハンディは非公式ですが「5」
是非、気をつけたいと思います…
IT TREND WATCH第3回 「3Dプリンタ」って?
早いものでもう3回目、今回のお題は、「3Dプリンタ」です。
3Dと聞くと、何やら飛び出てくる的なモノをイメージしがちですが、違います。飛び出して見えるのではなく、本当に立体ができちゃう、そんな魔法のような機械なんです。
3Dプリンタ(英語: 3D printer)とは、通常の紙に平面的に印刷するプリンターに対して、3D CAD、3D CGデータを元に立体(3次元のオブジェクト)を造形するデバイスを指す。(wikipediaより引用)
つまり、いままでのプリンターが2次元:平面の印刷なのに対して、3次元:立体を出すことができちゃうものが3Dプリンタなんですね。
実は似た様な性能の機械は既に製造業などで使われている切削機などがあります。しかし、これらの機械が図面などのデータから立体を造形する際に彫刻のように削って作り上げる技術を用いているのに対して、最近の3Dプリンタは薄い断面の形状を重ね合わせて立体を作り上げる技術を取り入れているものが一般的となっています。
最近この3Dプリンタが注目されはじめているのは、近年の技術革新が大きく寄与しています。
今までのタイプは、3DCADと呼ばれるシステムで設計図を作らなくてはならず、かなり専門的な知識と技術が必要とされていました。それに対して最近の3Dプリンタは3DのデータをCGで簡単にモデリングできるPCソフトウェアを使用することで、そのハードルをグッと下げることに成功しており、様々な分野で急速に普及してきています。
同時に、3Dプリンタそのものを作る技術も格段に進歩し、結果として本体の価格が安いものも多く登場してきています。これは、くしくも今私たちが職場や家庭で使用している、いわゆる普通のプリンタが普及していった過程と良く似ており、正に今が3Dプリンタの創成期だと言えます。
専門知識をさほど必要とせず、気軽に立体物を造形できる、しかもコストが今までよりも格段に安い、とこれだけ条件が揃ってきているので、市民権を得るのはそう遠くないかもしれません。
では、最近の3Dプリンタ事情をご紹介します。
①3Dプリンターのガンダム。え、もしかしてプラモではなくデータ販売の時代がくるの?
http://japan.digitaldj-network.com/articles/6073.html
②約4万5000円でゲットできる安価な3Dプリンター「RoBo3D」
http://gigazine.net/news/20130107-robo-3d-printer/
③フランスのアーチストが自作ロボットのパーツを無料で配布
http://jp.techcrunch.com/archives/20130122a-french-artist-is-posting-diy-robot-parts-so-we-can-print-our-own-androids/
今までは一部の企業等で限定的に商業ベースで使用されていた3Dプリンタですが、こう見ていると、いよいよ一般家庭でも利用できる機会が増えてくるのでは、と夢が膨らみます。
自分の好きなものを気軽に3Dでプリンタする時代、もうすぐそこまできているのかもしれません。
あなたなら、3Dプリンタで何を出力しますか?
「CU:リレーノート」第7回 コピーひとつで多くの人が揺れ~
コピーひとつで多くの人が揺れ動く?
デザイナー:田中秀一
皆さんこの言葉ご存知でしょうか・・・?「Think small.」
実はこの言葉は、1959年フォルクスワーゲンの
新聞広告のコピーなのです。
砂漠の中で小さなビートルの車が遠くを走っていて、
紙面の下の方にはFutura書体で「Think small.」
(もっと小さいという事を考えてみようよ、みんながもっと
smallになってみよう)的な意味合い。
一見なんてないコピーに見えますが、私はこのコピーが
大好きで、同時に目標としている広告の一つなのです。
当時アメリカでは戦争に勝ち、「大きくてダイナミックな
大型車が良いに決まっている」という考えが主流でした。
そんな中、小さく不格好な形として知られていた
フォルクスワーゲンはあまり人気のない車でした。
しかし、フォルクスワーゲンはそれを逆手にとり
「小さい事をもっと考えて。(Think small.)」と広告を打ち、
小さい事から生まれる、低燃費。小さい事から生まれる省スペース。
時流とは真逆のアピールをしました。
それにより、フォルクスワーゲンの良さが広がり、
「Think small.」はまさにアメリカ人のハートを
動かしたコピーとなったのです。その後も、
このコピーをもじってApple社が
「Think Differrent(違いを考えてみよう的な意味合い。)」というコピーで注目を集めました。
普段、デザインを制作する上で
どうすれば見ている人に響くビジュアルになるか、
どうすれば気持ちの中にすっと入ってくるようなコピーになるかを考慮して制作しています。多くの人が揺れ動く程の広告というのは、中々難しいものですが、目標は高く!いつか多くの人が揺れ動くような広告を作りたいと思います。
「CU:リレーノート」第6回 「一生ものの道具」
「一生ものの道具」
デザイナー:磯崎麻里
手仕事をするための「道具」が好きです。
「画材」「調理器具」「木工道具」など。
目新しいものにはもちろん興味があります。
でも最近のハイテクなツールたちは「そのバージョンには対応していません」
「そのパーツは既に製造していません」
などと言われて買い替えを余儀なくされることがしばしば。
せっかく愛着を持っても別れがすぐに来ます。
今の安くて使い捨ての世の中には、ちょっと残念な気持ちになったりもします。
古い考えかもしれないけど、
「道具」というのは直しながら思い入れを持って一生使いたいものです。
だから直して使えるものや、愛着の湧くものを使うようにしています。
少しだけかじったことのある茶の湯の世界では、割れた茶碗は捨てません。
割れ目を漆と金や銀で継いで、それを更なる味わいとして楽しみます。
こうして使い続けることで、「割れた」ことが茶碗の「終わり」ではなく、
「エピソード」として生き続けます。
先日、石垣島の作家さんのグラスが割れてしまったので、継いでみようと思い、
割れたショックが次の楽しみになりました。
うまく継げたらここでまたご紹介します。
うちにある道具たちには自分よりも先輩のものがいくつかあります。
そのひとつがこれ。(写真:左側)
実家で使われていたコーヒーミルです。
おそらく40年くらい前のものだと思います。
別に高いものではないはずですが、
私は3~4歳のころからこのミルで豆を挽いていました。
数年前に実家で眠っていたのでもらってきました。
時間をかけてゴリゴリ挽いていると部屋の中がいい香りになります。
もう一つ、先輩すぎてご老体なのがこれ。(写真:右側)
夫の実家で捨てられそうなところをもらってきました。
おそらく50年以上前のもの。
手でねじを巻いて動かします。
すぐに時間が狂うので、アテにはできませんが、
コチコチと振り子の音が落ち着くので使い続けています。
こうして道具を使い続けることは楽しいことですが、
実は問題が一つ。
ものを捨てられなくなります。
もっとすっきりした部屋にしたい・・・。
あと、仕事道具のMacだけはやっぱり新しいものがいいです。